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 楊枝の誕生

(株)広栄社 代表取締役社長 稲葉修 著 「楊枝から世界が見える」 から抜粋

楊枝を初めて使ったのはネアンデルタール人で、およそ10万年前といわれています。歯の化石に、縦の筋が見られ、これは堅い楊枝で歯をこすった跡だと推測されています。

その時代は、野性に近い生活をおくり、食物を柔らかくして食べる調理方法も発達していなかったので、歯がどれほど重要であったか、想像に難くありません。ちなみに、木の枝で歯を磨くチンパンジーがいるということも報告されています。


仏教と楊枝


わが国に楊枝が伝わったのは奈良時代、仏教とともに伝来したといわれます。お釈迦様(紀元前500年)は木の枝で歯を磨いていたそうです。歯磨きに使用する木を、サンスクリット語でダンタカーシュタ(歯の木)といい、中国では、歯木・楊枝と訳します。この「ダンタ」が英語の「デンタル」の語源です。現在でもインド数字でダンタは「32」、歯の本数です。仏教では、僧侶が常に身につけておくべきその第1に楊枝が出てきます。心身を清めるのはまず歯(口)からということでしょうか。

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