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 たかが爪楊枝、されど爪楊枝

「たかが爪楊枝、されど爪楊枝」を勉強してみましょう!

厚生労勧省が、『80歳で自分の歯を20本持とう』と呼び分けておりますが、 これが「8020運動」です。(20本あれば、何でも食べられるそうです)
現状、日本の平均は80歳で6本であるのに対し、ヨーロッパは何と16本です。
皆さんは、「割り箸」と「つまようじ」は日本の専売特許を思っていませんか?
実は、高が「つまようじ」に歴史・文化・生活・経済が見えてくるのです。

現在日本で主流の丸い「つまようじ」は、欧米ではカクテルピックと呼び、料理用と されています。「つまようじ」の先進国は北欧です。北欧では、歯の清掃具として 断面が二等辺三角形になっている「三角ようじ」が多く使われています。
歯の大切さを知っている北欧の国々では、「つまようじ」に対する意識も格別です。
彼らは
・歯と歯の間の形に合わせてつくられた「三角ようじ」を
・いつも身近に持ち歩き
・食後すぐの歯の汚れを二辺で取り、底辺の部分で歯を軽<マッサージします。
私達はこの歯医者さんも勧められている「三角ようじ」の文化を広げることによって、 ロ腔への関心を高め、健康で元気な高齢化社会を迎えたいと思っております。

この「三角ようじ」の唯−のメーカーが河内長野市にあります。
爪楊枝づくり一筋に86年の株式会社広栄社さんです。
それでは、同社のすばらしい「つまようじ資料室」と、≪つまようじ博士≫の同社社長 稲葉修さんの楽しいお話の中から、いくつかをご紹介しましょう。

1.楊枝は奈良時代に仏教と共にインドから中国・朝群半島を経てわが国に伝わりまし た。当時は歯木(しぼく)と呼ばれ、本の枝の一端を噛んで毛筆の毛先状にした ものです。そもそも、お釈迦さま(紀元前5百年頃)が、弟子達にこの歯本で歯を 清潔にすることを教えられました。インドではニームという木の枝を用いました。 中国にはこの木はなく、楊柳(ようりゅう)を用いました。それで、「ようじ」を 柳(やなぎ)の枝、すなわち楊枝と書くのです。

2.わが国では、最初は僧侶に取り入れられ、平安時代に一部上流社会に伝わり、江戸時代には、房楊枝と呼ばれ庶民にも拡がりました。これは一方を房上にし、  もう一方の先を鋭くして用いたのです。この先の鋭くした方を爪先でつまむようじという意味で「つまようじ」になりました。

3.僧侶が常に身につけておくべき「十八物」の第一番にあげられているのが楊枝です。口をすすぎ身を清めることが信仰者の心得の第一条件であり、ロ腔のみならず保健衛生思想の第一歩であったことが窺えます。

4.今も仏教界では儀式化され残っています。
京都の三十三間堂では毎年1月15日に「楊枝のお加持大法要」が、浅草寺では6月18日に「楊枝浄水加持会」が営まれています。

5. わが国や中東の「つまようじ」が宗教に深<関わったのに比べ、ヨーロッパでの歴史となると食生活の関係で多くは金属製の「つまようじ」が使われました。特に、中世のヨーロッパでは、貴族は金や銀の釣り針状の「つまようじ」に宝石等の細工をさせ、それをネックレスとしていつも首にかけていました。また、テーブルセットにスプーン・フォーク・ナイフと共に「つまようじ」も加えられていました。

6.英語で「つまようじTOOTHPICK」と言えば「平ようじ」のことで、世界共通の「つまようじ」です。河内長野「つまようじ」の独占産地(全国の96%)として今も残っているのは、「平ようじ」作りで他産地に先駆けて白樺を使い機機化に成功(広栄社)したからです。

7.原材料の白樺は柔らか過ぎて家具や建材には不向さであり、「爪楊枝」「割り箸」以外はチップ(紙の原料)にしかなりません。そのため価格的に安く、変な味や臭いもなく、色も白く、「つまようじ」には最適の材料でヨーロッパでもほとんど白樺製です。更に自生カが強いため、痩せた土地に強く、成長も早く、資源の有効活用の点でも優れています。

このように、「つまようじ」は、宗教・歴史・民族などにより、形や素材は異なっても、各々の時代の中でその特色を見ることが出来ます。 「つまようじ」=それは、最も小さな身近な道具の一つですが、なかなか奥が深く面白いでしょう。世界中の爪楊枝や歴史に触れたい方は、広栄社の「つまようじ資料室」ヘ ー度お越し下さい.
さあ−皆さん!健康つ<りは、「つまようじ」にこだわることから始めましょう!

(広栄社の「三角ようじ」は。薬局・薬店でお求め下さい)