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日本歯科骨粗鬆症研究会 常務理事 高石佳知


高石氏写真
 
骨がもろくなる骨粗鬆症と歯周病は、寿命を縮める?

 1998年米国のニューマン元歯周病学会会長他により、歯槽膿漏の原因菌のいくつかが、心血管系疾患、低体重児出産、呼吸器疾患、糖尿病等、全身疾患の危険因子であることを発表し、大反響をよびました。
 また、骨減少症、及び骨粗鬆症が歯周病の発症、進行に密接に関連する報告が多数あります(1)。 骨粗鬆症の患者さんの中で、特に閉経後の女性は、毎年2-3%の骨量の減少、10年で約20%の骨量の減少が報告されています。歯槽骨(歯の周りの骨)の喪失は、大腿骨ならびに椎骨の骨塩量と相関し(2)、骨粗鬆症の女性では、正常な骨密度の女性に比較して明らかに高い喪失傾向があります。(3)。歯周病で歯槽骨がとける過程と、骨粗鬆症による骨の破壊は、同じ破骨細胞(骨を溶かす細胞)の活性化によるもので、骨粗鬆症の人は、歯周病がさらに悪化します。

 歯周病は歯の周囲に原因となる細菌がたまり、炎症が起こり、膿が出ます。ひどくなると、細菌が出す毒素が、骨を吸収する破骨細胞をさらに活性化させ、歯を支える歯槽骨が溶け出し,やがて、歯が抜け落ちます。歯が抜けると、食べ物を体内に取り入れる機能が損なわれます。骨粗鬆症を予防するには、カルシウム等のミネラルやビタミンの摂取が大事ですが、歯が抜けると不十分になります。正しいかみ合わせが出来なくなり、顎関節症にもなりやすく、また、喪失歯数が多くなるため、かみ合わせによる脳への刺激が少なくなり、痴呆にかかりやすくなります(4)。また、顎骨の吸収も進み、入れ歯も不安定なるため、ますます十分に咬んで食事をする事が出来なくなります。

 骨粗鬆症と歯周病はこんなにも関係があり、歯を守ることが、全身の健康にいかに大切かがお分かりだと思います。このように、骨粗鬆症の患者さんは歯周病になりやすく、また、進行も早くなるので歯の喪失本数も多くなり(5)、この事が健康寿命を短くすると考えられています。歯を抜けた状態にせず、入れ歯やブリッジを入れて、しっかり咬むことも大切です。さらに、医科と歯科の共同作業により、皆様の大切な歯を守り、歯が抜けないように予防する事は、より幸せな人生につながると考えます。
 この様なお話をみなさんに聞いて頂くために、私は、「骨粗鬆症健康セミナー」で講演しています。

 医療ボランティア骨粗鬆症ネットワーク(代表森井浩世)主催の「骨粗鬆症健康セミナー」で、私は、毎回、「骨粗鬆症から歯をまもるには」というテーマで話をしています。この定例セミナーは、平成12年4月(第1回)より、平成14年11月(第31回)まで、大阪市北区西天満6-5-1デジタルエイトビル1階(旧関西テレビ)のスタジオにて、毎回100名以上の市民の皆さまに参加して頂き、開催されています。本年の日程等のお問い合わせは、医療ボランティア骨粗鬆症ネットワーク事務所にお願いします。
住所は、大阪市北区西天満6-5-1デジタルエイトビル2階(旧関西テレビ)TEL&FAX:06−6315−3152です。

 また、歯科医師の先生方にも骨粗鬆症と歯周病をはじめとする歯科医学の研究、臨床における新たな歯科治療の取り組みの必要性を、多くの先生方にご理解頂きまして、平成14年10月13日、日本歯科骨粗鬆症研究会(理事長森井浩世)が設立され、その記念講演会のシンポジウム「歯科と骨粗鬆症」で私もシンポジストを勤めさせて頂きました。平成15年は、日本歯科骨粗鬆症研究会常務理事としても、骨粗鬆症予防と大阪宣言の実現に向け精進させて頂きます。

 大阪宣言とは、
「我々一千万人を超える日本人に骨粗鬆症患者の骨粗鬆症患者が、専門医の診断、治療、援助が受けられる条件を確保、整備するために、誠心誠意努力することをここに誓う。
 そのことが骨粗鬆症患者の生活の内容を向上させ、結果として健康な社会をもたらすことを確信する。
 骨折という病態を防ぎ、寝たきり者をへらすために、また生活習慣病である歯周病の予防のために、我々は、あらゆる努力を惜しまない。

 我々は、目的達成のために個人または組織を通じてあるいは政治的手段を用いて働きかけ、人々が骨粗鬆症の原因、骨折の危惧、予防法、診断法、治療法などを熟知できるようにする。柔整からの対応もこれに加わる。また我々は骨粗鬆症による大腿骨、椎骨その他の部位の骨折を撲滅し、歯周病による歯の喪失を防ぐために活動する。」

 平成14年3月24日 歯周病・骨粗鬆症専門家会議
 森井浩世、辻 竹康、高石佳知、寺川圀英、松尾 通、中島幸一
 更に、詳しいケアまで含めた内容のお問い合わせにつきましては、骨粗鬆ネットワーク事務局にて、
 お伺いし、対応させて頂きます。

医療ボランティア骨粗鬆症ネットワーク
 
 〒530-0047 大阪市北区西天満6-5-1 デジタルエイトビル2F(旧関西テレビ)
  TEL&FAX : 06−6315−3162
 
高石歯科医院
  URL : http://www.dentalgraphic.com/clinic
  〒670-0935 姫路市北条3-32
  TEL : 0792−24−1578  FAX : 0792−22−7222
 
大阪事務所
  TEL&FAX : 06−6315−5885
 
参考文献 :
 
(1) Jeffcoat,M.K.:Osteoporosis-.A possible modifying factor in oral bone
  loss..Ann.periodontal, 3:312-321,1998.
(2) Tezal M,Wactawski-Wende J,Grossi SG, Ho AW,Dunford R,Genco RJ : The relationship
  between bone mineral density and periodontitis in postmenopausal women. J Periodontol
71:1492-1498,2000
(3) Payne J B. Reinhardt RA, Nummikoski PV,Patil KD : Longitudinal alveolar bone loss
  in postmenopausal osteoporotic/osteopenic women.Osteoporos Int 10:34-40.1999
(4) Kondo K,Niino M, Sindo K
  A case-control study of Alzheimer's disease in Japan"significance of lifestyles.
  Dementia.1994 Nov-Dec;5(6):3 14-26
(5) 石川 烈 : 高齢者における口腔内環境と全身疾患との関連について、長寿科学総合研究.,
  1998;1997(3):388-390.
(おおさかメディカル 第38号より)

■プロフィール
 
日本歯科骨粗鬆症研究会常務理事
 

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