快適な暮らしを妨げるカビ菌は住まいや健康にどんな悪影響を及ぼしているのか、そしてその対策法について紹介します。
 

Q1
そもそもカビって何?
A. だれもが知っているキノコや酵母もカビの仲間で、これらを総称して「真菌」と呼びます。
現在分かっているだけで約7万種もあり、その中には食品の発酵を促したり、抗生物質の原料になる有用なカビと、健康を損なう有害なカビがあります。


Q2
なぜ、すぐに繁殖するの?
A. カビは糸状の菌糸を持ち、そこで胞子を生産しながら増えています。
その胞子は大体2〜3ミクロンという小さく軽いもので、いつも空気中を浮遊しています。
一方、カビは75%以上の湿度と20〜25℃という適度な温度、そして栄養分となるフケやアカ、食品の残りかすなどの有機物が大好物で、浮遊して行き着いた場所がこうした条件を満たしていると、そこではびこってしまいます。
いろんな場所で湿気を発生させる要因を持つ住まいは、まさにカビの宝庫で、逆に住まいの中でカビの嫌いな場所を見つけるのが難しい程です。(下図参照)
 
■室内に発生するカビ(名古屋市健康福祉局「住まいの衛生から」)


Q3
カビ菌の健康への影響は?
A. 人体に有害な微生物のことを、一般にバイキンといいますが、カビ菌は細菌やウィルスと並ぶ立派な(?)バイキンです。
しかもバイキンは漢字で「黴菌」と書きますが、この「黴」こそがまさに「カビ」という字なのです。
人間はふだんから、カビ菌に限らずいろんな微生物を、皮膚や口の中、消化器官などに持っています。ただ、健康なときは、これらの活動を抑えているのですが体調を崩した時や、あるいは抵抗力の弱いお年寄りや乳幼児には猛威を奮うをことがあります。
必要以上に恐れることはありませんが、室内に浮遊しているカビ菌を取除いておけば、こうした心配も少なくなるというわけです。


Q4
どんな病気を引き起こすの?
A. 医学界では、カビ菌が原因となる病気は大まかに次の3つに分類できると言われています。
@ カビが繁殖した食品を食べて起こるカビ中毒症。
A カビ菌が皮膚から侵入して病変を引き起こす真菌症。その代表選手が水虫やおむつかぶれ。
B 呼吸や経口から体内に侵入して障害を及ぼす真菌感染症。
例えばアレルギー性鼻炎やゼンソクなどがそうで、最近の研究では肺炎などを引き起こす原因の一つとも考えられているそうです。


Q5
カビとダニの関係は?
A. 屋内に棲むいろんなダニの中で、アレルギーの原因の一つと考えられているのがヒョウダニです。
ダニが好む環境は、高温多湿やフケ、食品カスなどの有機物です。これは見事にカビ菌の場合と一致しています。
その上、ダニはカビ菌も大好物で、カビがはびこっている場所には必ずダニが生息していると思ってもいいほどです。そのため、家庭ではダニ対策だけでなくカビ対策も必要になるわけです。


Q6
カビの繁殖を防ぐには?
A. 室内の湿度を下げることが一番です。ですから、エアコンや除湿機を利用するのが最も手軽で、一番効果があります。
さらに日常的に心掛けたいことは、雨の日には換気扇を回さないようにすることです。換気扇を回すと屋外の湿気を室内に呼び込み、結果的に結露の発生を促してしまいます。
また室内に洗濯物を干さないことも大切です。止むを得ない場合は衣類乾燥除湿機やエアコンを利用することです。
ともかく天気のよい日は窓を開けて室内の空気を入れ替えるなど、できるだけ換気を心掛けてください。その際、風が入ってくる方を小さく、出ていく方を大きく開けると、空気の流れが良くなり、換気の効果も一段と高まります。
 
■場所別カビ対策
場 所 結露発生の原因 対 策 季 節
台 所

ガスが燃焼すると水蒸気が出る。
また、湯を使うだけでも水蒸気が出る。

調理時や炊飯時、後片付けの際には換気扇を回す。使用後もしばらく回すとさらに効果的。 通 年
浴 室 短時間であるが最も大量の水蒸気の発生源。
浴室の壁・床・天井は防湿構造になっており、意識的に排出しないといつまでもこもる。
入浴後すぐに排水し、ドアを閉めて換気扇を回すか、窓を開放する。 通 年
寝 室 呼吸や寝汗などによる水蒸気発生量が多く、夜間温度の低下により窓ガラスが結露することもある。 就寝前の5分程度窓を開けて換気すると結露が軽減できる。またベッドを壁から5cm程度離すのも効果的。 冬 期
押入れ
収納庫
北側や日光の当たらない場所に設置されることが多く、温度が低く風通しも悪いため、高湿度になりやすい。(特に外壁に面した北側の押し入れは要注意) 収納品を壁から数cm離し、ぎゅうぎゅう詰めにしないこと。また床にスノコを敷いたり、夜間ふすまを開けておくのも有効。 冬 期
家具の裏 空気が淀み温度が低く、裏面の壁は結露しやすい。北側や東・西側の外壁に面した壁に沿って家具を置く時は注意が必要。 家具と壁の間を5cmくらい空けて空気を通りやすくする。 通 年
ガラス窓 室内側で表面温度が一番低く、冬期の結露防止はなかなか困難。 雨戸をつけたり複層ガラスに変えると効果的。結露したらこまめに拭き取ること。さらに暖房器具は窓側に置くこと。 冬 期
梅雨期
カーテン
内側の紙障子
熱は伝えにくいが水蒸気は通りやすく、低温の窓ガラスとの間で結露が激しい。 カーテンなどをこまめに開閉し空気の淀みをなくす。濡れた窓もこまめに拭く。 冬 期